バイト仲間で、ものすごく気の合うメンバーがいた。 なぜ気が合うかというと、共通の上司がヤバいやつだったからだった。 どうヤバいかここで説明するのは割愛する。主題からずれるので。 そのヤバい上司の愚痴を言っている間は、お互い仲間意識を持っていたように思う。 月日は流れ、私はそこを辞め、しばらくしてその気が合うメンバーも辞めた。 何回かその後、そのメンバーと合っているうちに、意見の衝突などから、険悪な雰囲気になることが増えた。 そして私も面倒なので、もう会わないようになった。 それからもう何年も経つ。 「共通の敵」を作ると、結束が固まるという話はよく聞くが、それは非常に壊れやすいものと思う。 敵が去ったあとは、内紛が起こる。 人類に文明が発生してから、地球上のあらゆる場所で繰り返してきたことかもしれない。 漢の劉邦が中国を統一したとき、つまり宿敵項羽を倒したあと、敵がいなくなった。 その時、今まで一緒に戦ってきた功臣の何人かは、劉邦によって降格されたり、またそれを恨みに思った功臣が謀反を起こし、一族ごと処罰を受けたりもした。 ただ、軍師の張良は天下統一の後、「政治には興味ありません。オカルトの研究だけはさせてください」と自分は安全であるというアピールをしたからなのか助かったようである。 軍師として成果を上げるくらいだから、やはり人間の性質を理解していたようだ。 こんな感じで、共通の敵がいるという条件下で育まれた友情のようなものは、いずれ崩壊する儚いものであると考えておくのがいい。 喫煙所で上司の悪口を言ってる暇があったら、自分のスキルアップに時間を使う方が有益と言える。